- 2月 3, 2026
- 3月 7, 2026
女性に多い「かくれ貧血」の見分け方
院長の福井薫です。最近、疲れやすい。朝から体が重い。立ちくらみが増えた気がする。更年期障害かもしれない。血液検査を受けても「貧血はありません」と言われたものの、体調は一向にすっきりしない。当院でもこうしたご相談は多く寄せられます。
そんなときに考えておきたいのが「かくれ貧血」です。 はっきりした病名がつかない不調ほど、不安になりやすいものです。今回は女性に多い「かくれ貧血」について、見分け方のポイントを中心にまとめます。
「かくれ貧血」とは何か
一般に「貧血」とは、血液中のヘモグロビン値が低下している状態を指します。しかし実際には、ヘモグロビンが正常範囲であっても、体内の鉄が不足しているケースがあります。これが「かくれ貧血(潜在性鉄欠乏)」です。
鉄は血液をつくる材料であるだけでなく、筋肉や神経、脳の働きにも関与しています。そのため、鉄が不足すると、血液検査では異常がなくても、体にはさまざまな不調が現れます。検査では問題ないと言われたけれど調子が悪いという場合、その背景に鉄不足が隠れていることも少なくありません。
なぜ女性に多いのか
かくれ貧血が女性に多い大きな理由のひとつが、月経による鉄の喪失です。毎月の生理で、少量ずつではありますが確実に鉄は失われていきます。とくに、
- 生理の量が多い
- 生理期間が長い
- 子宮筋腫や子宮内膜症がある
といった場合、鉄不足は進みやすくなります。
さらに、妊娠・出産、授乳期は鉄の必要量が増える時期です。加えて、ダイエットやかたよった食事によって、鉄の摂取量そのものが不足している方も少なくありません。こうした要因が重なり、女性は知らないうちに鉄不足におちいりやすいのです。
見逃されやすい症状と検査のポイント
かくれ貧血では、次のような症状がよくみられます。
- 慢性的な疲労感、だるさ
- 立ちくらみ、めまい
- 動悸、息切れ
- 頭痛、集中力の低下
- 気分の落ち込み、イライラ
- 髪が抜けやすい、爪が割れやすい
- 冷えを感じやすい
これらは、忙しいから…とか、年齢のせい…と思われがちですが、鉄不足が関係していることもあります。
かくれ貧血を見分けるためには、ヘモグロビン値だけでなく、「フェリチン(貯蔵鉄)」を測定することが重要です。フェリチンは体内にどれだけ鉄が蓄えられているかを示す指標で、将来の貧血リスクを知る手がかりになります。
自己判断に頼らず、適切なケアを
最近では、インターネットや雑誌などで「かくれ貧血」という言葉を目にする機会が増え、鉄不足だろうとご自身で判断される方も少なくないようです。
ただし、同じような症状は、甲状腺の病気、更年期障害、睡眠障害など、他の原因でも起こり得ます。正確な診断には、症状の経過や生活背景、必要な検査を含めた総合的な判断が必要でしょう。
治療としては、鉄剤の内服、食事内容の見直し、生理量が多い場合の婦人科的治療など、状況に応じた対応を行います。鉄剤は自己判断で続けると副作用が出ることもあるため、医師の管理下で使用することが大切です。
その不調、体からのサインかもしれません
「かくれ貧血」は命に関わる病気ではありませんが、放置すると日常生活の質を大きく下げてしまいます。なんとなくの不調を我慢し続けることは、体にとって小さな負担の積み重ねです。
当院では、月経の状況や生活背景も含めてお話をうかがいながら、必要な検査や対処法をご提案しています。「この程度で相談していいのかな」と迷う症状こそ、どうぞ気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
立春を迎え、少しずつ日が長くなってきましたね。春の気配を感じつつも、寒さはまだ続いておりますので、どうぞお体を大切になさってください。
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文責:宝塚かおるレディスクリニック院長・産婦人科専門医 福井薫 [院長プロフィール]