- 5月 2, 2026
- 5月 9, 2026
陰部のできもの|よくある原因と受診の目安

院長の福井薫です。陰部のできものについては、「こんなことで受診してよいのか」と迷いながら来院される方が少なくありません。
場所が場所だけに、誰かに相談するわけにもいかず、皮膚科と婦人科どちらに行けばよいかもわからず、しばらく様子をみてしまった、、、という方も多いです。
相談しづらいですよね、陰部のできもの
陰部は、他の部位と違って比べる機会がなく、自分の状態を判断しにくい。その「よくわからない」という感覚が、不安を大きくしていることがあります。インターネットで調べてみても、自分の症状とうまく照らし合わせられなかった、という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
外来でお話をうかがうと、受診までに長い方は数ヶ月や数年悩まれていたことがわかります。でも、陰部のできものはしばしば相談されるものです。「これで来てよかった」とおっしゃる方がほとんどです。
よくある良性の原因
陰部のできものの多くは、比較的よくある良性の変化です。「悪いものだったらどうしよう」と不安を抱えてこられる方も多いのですが、診察してみると良性のものであることが少なくありません。
代表的なのは毛嚢炎(もうのうえん)です。毛穴に細菌が入り込み、ニキビのような状態になるもので、赤く腫れたり、軽い痛みをともなったりします。下着のこすれや自己処理の刺激がきっかけになることもあります。再発しやすい方もいますが、原因がわかれば対処できます。
粉瘤(ふんりゅう)もよくみられます。皮膚の下に袋状の構造ができ、その中に老廃物がたまることで、触るとしこりのように感じます。通常はゆっくり大きくなりますが、感染を起こすと急に赤く腫れて痛みをともなうことがあります。「ずっとあったのに急に腫れた」というご相談もよくあります。
また、腟の入り口付近にできるバルトリン腺嚢胞(のうほう)も珍しくありません。分泌物の出口が詰まることで腫れが生じます。小さいうちは無症状のこともありますが、大きくなると違和感や痛みが出てきます。座るときに気になる、という訴えで気づかれる方もいます。
良性のものでも、痛みや再発をくり返す場合には治療が必要になります。自己判断で市販薬を使い続けるよりも、一度原因を確認することをおすすめします。
感染症が原因となることもある
一方で、感染症が原因のできものもあります。感染症と聞くと驚かれる方もいますが、早めに対応することで症状のコントロールは十分可能です。
尖圭(せんけい)コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)によるもので、小さないぼ状の隆起が増えていくのが特徴です。主に性的接触によって感染しますが、初期には自覚症状がほとんどないこともあります。「いつの間にか増えていた」という形で気づかれることも多いです。
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによる感染症で、水ぶくれやびらんをともない、強い痛みを生じることがあります。性的接触をきっかけに発症することが多いものの、過去に感染して体内に潜伏していたウイルスが、体調不良やストレスなどを契機に再活性化する場合もあります。そのため、必ずしも直近の性的接触が原因とは限りません。再発を繰り返す方には、症状が出る前兆を知っておいていただくことも大切だと考えています。
いずれも、診察と検査によって原因を確認して対応します。自己判断で薬を使用したり、放置したりすることはあまりおすすめできません。
早めの受診をおすすめするサイン
次のような場合には、早めの受診をおすすめします。
- 急速に大きくなる
- 強い痛みや発熱をともなう
- 出血やただれがある
- 同じ場所に何度も繰り返す
- 数週間たっても改善しない
まれではありますが、悪性疾患が隠れている可能性も否定はできません。頻度は高くありませんが、いつもと違うと感じる変化がある場合には、念のため確認することが安心につながります。
ぜひ婦人科へご相談ください
「恥ずかしくて、ずっと言い出せなかった」とおっしゃる方が、本当に多いのです。でも、私たちにとって陰部の診察は日常のことであり、患者さんが思われるほど特別なことではありません。皮膚科と婦人科、どちらに行けばいいかわからないという方も、婦人科へご相談いただければ、状態を確認したうえで治療方針をご案内します。
診察では視診と触診で状態を確認し、必要に応じて検査や処置を行います。原因がはっきりすれば、治療方針も明確になりますし、経過観察でよい場合もあります。
陰部のできものは、良性のものから感染症まで原因はさまざまです。大切なのは、ひとりで抱え込まず、早めに確認することです。
「これくらいで来てよかったのかな」と思うくらいが、ちょうどよいと私は思います。気になる症状がある方は、どうぞご相談ください。よろしければ、当院の「おりもの異常・性感染症」のページもご覧になってください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
先日たけのこ掘りに出かけ、季節をたっぷり満喫しました。翌日からの筋肉痛は、存分に楽しんだ証でしょうか…

文責:宝塚かおるレディスクリニック院長・産婦人科専門医 福井薫 [院長プロフィール]