おりもの異常・性感染症
おりもの異常
毎月訪れる生理(月経)のことでお悩みを持つ女性の方も多いと思います。「月経周期が一定しない」「月経前にイライラしたり、落ち込んだりする」「月経前になると体調が悪くなる」「月経の量が多い」「月経痛がひどくてつらい」「月経ではないのに出血がある」等々。
当院ではそんなお悩みを持つ患者様に寄り添い、しっかりと原因などを見極めつつ、改善を目指していきます。原因の中には早期の治療開始が重要な病気もありますので、お早目のご受診をお勧めいたします。また月経移動についても対応しています。
おりものの異常の状態により、以下のような病気が考えられます
おりもの異常の状態 | 可能性のある病気 |
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灰色で多量 | 細菌性腟炎 |
白く酒かす状またはヨーグルト状 | カンジダ腟炎 |
泡状、黄緑色 | トリコモナス腟炎、淋菌感染症 |
水っぽい、黄色 | クラミジア感染症 |
茶褐色(不正出血) | 子宮頸管ポリープ、萎縮性腟炎、子宮頸がん、子宮体がん など |
カンジダ腟炎
真菌の一種であるカンジダ属の感染による感染症です。カンジダは健康な人の口腔や皮膚、腸内、粘膜にも常在している菌で、健康な女性3~5割の膣内にも常在しています。この菌が何らかの理由で異常に増殖することで発症します。酒かす状ともヨーグルト状とも表現される白いおりものが出ることが特徴で、腟や外陰部の強いかゆみや赤み、腫れ、ヒリヒリとした灼熱感などの様々な症状が現れます。また性交時痛や排尿障害なども生じる場合があります。治療をすることで約9割は治癒しますが、再発率が約1割あり、妊娠中や糖尿病がある場合は再発率が高くなっています。
おりものの量や状態は体調・年齢などでも変化するもので、細菌性腟炎、カンジダ腟炎などは、抵抗力が低下したときに発症します。気になる症状がある場合は、お早めに受診し、検査されることをお勧めします。
性感染症
おりもの異常の原因ともなっている性感染症は、基本的に性行為によって感染する病気で、クラミジア子宮頸管炎、淋病、尖圭コンジローマ、性器ヘルペスなどがあります。名称についてご存じのものも多いと思いますが、間違った知識により自分で対処していると、病状を悪化させてしまったり、不妊や子宮外妊娠の原因となってしまったり、パートナーとの関係に問題が生じたりすることがありますので、専門医によるしっかりとした診療を受けることが大切です。
クラミジア感染症
クラミジア・トラコマティスという細菌が子宮頸管部の細胞に感染したものです。性感染症の中で最も割合が高いもので、10代後半~30代での感染が多く、子宮頸管炎などを発症します。罹患しても無症状の場合が多いため(約8割に自覚症状がないと言われています)、感染が広がる傾向にあります。主な症状としては大量のおりものなどがあり、自覚症状がなく放置していると、骨盤腹膜炎や肝周囲炎を引き起こして急激な痛みを感じる場合もあります。また、不妊や流産、早産を起こしたり、分娩時に新生児に産道感染して新生児肺炎や新生児結膜炎を起こしたりしますので、注意が必要です。
淋病
淋菌による感染症で、クラミジアと並んで頻度の高い性感染症と言われており、1回の性行為による感染率が約3割と高くなっています。クラミジアと同様、無症状であることが多いのですが、主な症状としては膿のような、臭いのあるおりものがみられることが挙げられます。また進行すると腟の入り口付近の腫れや痛み(子宮頸管炎)、下腹部の痛みや発熱(骨盤腹膜炎)があらわれる場合もあります。さらにオーラルセックスにより喉に菌が感染し、咽頭炎を引き起こし、のどの痛みや扁桃腺の腫れが現れる場合もあります。不妊や子宮外妊娠の原因ともなり、新生児に感染して新生児結膜炎などの原因となることもあります。
性器ヘルペス
単純ヘルペスウィルス(1/2型)に感染することで発症する性感染症です。多くの場合、無症状で経過していきますが、発症した場合の主な症状は、発熱や倦怠感などの全身症状を伴い、外陰部に潰瘍性、水疱性病変が多発し疼痛を伴います。排尿困難や歩行困難になる場合もあり、入院が必要になることもあります。
また単純ヘルペスウイルスは一度性器に感染すると、骨盤の神経節などに潜伏し、ストレスや体力低下などによって免疫力が低下すると再発するようになってしまうため、注意が必要です。
トリコモナス腟炎
0.01mm~0.025mmくらいの大きさの「トリコモナス原虫」に感染することで起こる性感染症です。腟や子宮頸管、下部尿路が主な感染部位となり、腟炎を発症させます。泡のようなおりものが出てくるのが特徴で、悪臭を伴うことがあり、また黄緑色になる場合もあります。性行為の他にもタオルやお風呂などでも感染することもあることから、性行為が未経験の女性や幼児でも感染する可能性があり、他の性感染症と比べ、中高年の方まで幅広い年齢層での感染が多くみられます。
梅毒
梅毒トレポネーマという細菌に感染することで起こる感染症です。
性交渉(オーラルを含む)により粘膜や皮膚の傷から感染します。感染した部位にできもの、ただれが出ます。しばらくすると消えますが、病気は進行します。症状が出ない場合もあります。
妊娠している人が梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、奇形が起こることがあります(先天梅毒)。
近年患者数は増加しており、特に20歳代女性の患者数が急増しています。梅毒は早期に治療すれば治る病気です。気になることがあればご相談ください。
尖圭コンジローマ
主に性行為で感染する性感染症のひとつで、性器疣贅とも呼ばれています。原因はヒトパロマーウイルス(HPV)への感染で、症状としては大陰唇や小陰唇、腟などの性器の各所や肛門周辺に、小さいもので2mm程度の、大きくものではカリフラワー状と表現されるイボが現れます。初期には自覚症状がなく、イボが見えにくい位置にあると発見が遅れる場合があります。イボが大きくなるに従い、かゆみや痛みを伴うことが多く、外陰部のしこりや、おりものが増えるといった症状がみられる場合もあります。20代に多くみられるとされ、子宮頸がんとの関連性も指摘されています。
外陰部尖圭コンジローマ電気焼灼術について
尖圭コンジローマの治療には、大きく外科的治療と、外用薬(塗り薬)による薬物治療の二つがあります。いぼの大きさや数、位置、これまでの治療の有無、回数などを検討した上、治療法を選択します。当院では、外科的治療としては目立つ病変に対して、局所麻酔を使用しての電気焼灼術を行っています。これは電気メスによって、イボを焼き切るもので、根本的な治療となるものです。