生理の悩み
生理の悩みについて
毎月訪れる生理(月経)のことでお悩みを持つ女性の方も多いと思います。「月経周期が一定しない」「月経前にイライラしたり、落ち込んだりする」「月経前になると体調が悪くなる」「月経の量が多い」「月経痛がひどくてつらい」「月経ではないのに出血がある」等々。あるいは、「なかなか初潮がこなくて心配」ということもあるでしょう。
当院ではそんなお悩みを持つ患者様に寄り添い、しっかりと原因などを見極めつつ、改善を目指していきます。原因の中には早期の治療開始が重要な病気もありますので、お早目のご受診をお勧めいたします。また月経移動についても対応しています。
生理のお悩みの原因には、
以下のようなものがあります
月経困難症
月経の際、強い下腹部痛や腰痛、嘔吐、下痢、頭痛などの症状があり、生活に支障をきたしてしまうような場合、「月経困難症」と診断されます。月経困難症には「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」があります。
- 機能性月経困難症
- とくに原因となる病気(器質的疾患)のないものです。初経後2~3年より始まり、15~20歳に多く、子宮が未成熟な思春期の方や子宮の前屈・後屈などが強い方に多いとされています。加齢とともに症状は収まっていき、一般的には出産などを機に症状がみられなくなっていきます。一方、過労やストレスが原因と考えられる場合もあります。治療としては消炎鎮痛剤やピル、漢方薬等による薬物療法が有効です。
- 器質性月経困難症
- 原因として、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症などの病気があるものです。多くは30歳以降に発症し、月経前4~5日から月経後まで症状が持続します。腰痛、排便痛、性交時痛などを伴う場合があり、月経の時期以外にも症状を認めることがあります。丁寧な検査を行い、原因となる病気に応じた治療を行っていきます。
月経前症候群(PMS)
月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)は、「月経開始の3~10日前から始まる精神的・身体的症状で、月経開始とともに減退ないし消失するもの」を指します。イライラする、気持ちが沈むといった精神症状や、頭痛、腹痛、乳房痛などの身体症状がみられ、月経開始とともに症状が和らぎます。女性の約8割は、このような経験をしているといわれています。症状があってもすべての人に治療が必要なわけではありませんが、毎月生じる症状で日常生活に支障をきたすほどであれば、診療を受けることをお勧めします。
月経前症候群(PMS) の原因
PMSの原因はまだはっきりとはわかっていませんが、生理に伴うホルモンバランス変化の影響が注目されます。排卵リズムのある女性の場合、排卵から月経までの期間(黄体期)に卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が多く分泌されます。この黄体期の後半に卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが原因と考えられています。
ただしPMSの原因には、女性ホルモンの変動に加えて、他にも多くの因子が関連していると考えられています。たとえば脳内のホルモンや神経伝達物質はストレスなどの影響を受けるため、女性ホルモンの低下だけでなく、ストレスなど多くの要因からもPMSが起こるといわれています。治療法としては、薬による治療と、薬によらない治療とがあります。
月経前症候群(PMS) の治療
薬による治療としては、排卵を止め、女性ホルモンの変動をなくすことにより症状の軽減を図る目的で低用量ピルを使用する場合があります。また痛みなどの症状に対しては鎮痛剤、精神神経症状や自律神経症状に対しては精神安定剤や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(抗不安薬、抗うつ薬)を使用します。また漢方薬を用いることもあります。
薬によらない治療としては、たとえば症状を日記につけていくなどして、症状発現日と月経周期の関係についての理解を深めることで、症状への対処をしやすくする方法もあります。PMSによってストレスがたまり、さらにPMSが悪化するという悪循環を断ち切るためにも、病気を理解し、気分転換の時間をとってリラックスすることも症状の改善には有効です。症状が重い場合は周囲の理解も得て、仕事や家事の負担を軽減することも大切です。
月経量の異常
経血量には個人差がありますが、30分おきにナプキン交換をしなければならない場合や、8日以上出血が続く場合、さらには大きな血の塊が混ざる場合、「過多月経」とされます。子宮筋腫や子宮腺筋症など病気が影響しているケースもあり、貧血に陥ることもあります。一方「過少月経」は、月経が2日で終わる、ナプキン交換の必要がないといった場合で、子宮やホルモンに異常があることが考えられます。
月経不順
月経は通常25日~38日の周期で起こりますが、月経周期がこの範囲よりも短くなったり長くなったりする状態が月経不順で、生理不順とも呼ばれます。通常より遅くなる場合は「希発月経」、短い場合は「頻発月経」、また妊娠していないのに3カ月以上月経がない場合を「無月経(続発性無月経)」と言います。
月経不順の原因
月経不順の原因としては、ひとつにはホルモンバランスの乱れがあります。その誘因としては、過度なダイエットや激しい運動、痩せやその逆の肥満、精神的・肉体的ストレス、疲労、環境の変化などがあります。これらがホルモンを調節する視床下部に影響を与え、卵巣機能不全を招き、ホルモンのバランスを崩してしまうのです。その結果、月経不順のほか、不妊症、不育症、更年期障害、骨粗鬆症、高コレステロール血症などの発症リスクが高まる場合もあります。
また月経不順の原因としては他に、卵巣の病気である場合があります。比較的多い病気として「多嚢胞性卵巣症候群」があり、成熟した女性の5~8%に発症するといわれています。原因はまだよくわかっていませんが、男性ホルモンが増えることにより排卵しにくくなり、月経不順や無月経を引き起こすと考えられています。
この他には卵巣の腫瘍や早発卵巣不全などの病気、脳下垂体の腫瘍や甲状腺機能異常などの病気、精神安定剤や抗がん剤、放射線など他の病気のための薬剤や治療等々が原因として考えられています。
月経不順の治療
治療としては、何らかの病気など、原因がはっきりとしている場合は、まずその病気の治療や、使用している薬剤等の検討を行っていきます。それ以外では、患者様の年齢や妊娠希望の有無などによって検討します。月経不順が起こりやすい状態といわれる初経から間もない時期、あるいは閉経が近い時期では、ひどい貧血などの症状が見られない場合、経過観察となることもあります。
体重減少が原因である場合は、適切な体重に戻し、維持するため、運動の制限や食事内容の調整を行います。また体重やストレスのコントロールのためにカウンセリングなどの心理的なサポートが必要なときには、専門医へ紹介する場合もあります。
月経不順に対し、低用量ピルにはホルモンのバランスを整える効果が期待され、症状に応じて処方されることがあります。女性ホルモンの「エストロゲン」が長期に不足している場合は骨量が減少し骨粗しょう症を引き起こすリスクがあるため、ホルモン補充に加えて、カルシウムやビタミンD3が処方されることがあります。妊娠の希望がある場合には、排卵誘発剤が使用されます。
不正出血
不正出血とは、ホルモンバランスの崩れ、炎症、妊娠、外傷、腫瘍など何らかの原因により、月経以外に性器から出血することを指します。排卵期に起きる中間期出血など病気ではないものもありますが、重大な病気の一症状である場合もありますので、お早めに一度、ご受診されることをお勧めします。
不正出血の原因としては以下のようなものがあります
器質性出血 | 腟や子宮、卵巣などに何らかの病気があるために起こる出血、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、腟炎や腟部びらん、子宮頸がんや子宮体がん等の悪性腫瘍など |
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機能性出血 | 病的な原因がみられない出血、ホルモンバランスの異常、凝固異常など |
妊娠関連 | 流産、異所性妊娠など |
- 不正出血がみられる疾患は多数あり、どこからの出血か自分ではわからないことも多く、尿や肛門からの出血であることもあります。
月経移動
結婚式や大事な試験、スポーツの試合、旅行、ライブなど、大切なイベントと生理が重なってしまった時、生理を早めたり遅らせたりして、スケジュールをずらすことができます。これはホルモン剤を計画的に服用することにより生理の時期を変更していくものですが、イベントがある前の月の生理開始から一週間以上過ぎると遅らせることのみ可能となります。
- 月経を早め(生理開始の前倒し)、イベントの前に終わらせる方法
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イベントの前の月の月経がきてから1週間以内の受診が必要です。月経開始後5〜7日目から10〜14日間薬を服用すると、服用終了後2〜5日で月経が始まります。
- まれに服用後1週間以上たっても月経がこない場合もありますので、必ずしも確実な方法ではありません。
- 月経を遅らせ(生理開始の引き延ばし)、イベント後に始めさせる方法
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イベント当日の月経予定日の5〜7日前より服用を始め、遅らせたい日程の最終日まで服用を続けます。その間月経はなく、服用終了後2〜5日で月経が始まります。
- 1~2日後にくる予定の月経を遅らせることはできず、3週間以上遅らせることも難しいものですが、より確実な方法といえるでしょう。
ご受診時に確認すること
事前のWeb問診では、ホルモン剤処方にあたり、以下のことをお伺いしますので、ご協力ください。
- 最後に生理が始まった日
- 次回の生理の開始予定日
- 生理を移動したい日程
これらの情報を元に処方するホルモン剤を決定し、服用のスケジュールを立てていきます。このほかにも、年齢や体型、病気の有無、喫煙の有無なども処方の内容にかかわってきます。またまれにホルモン剤の副作用がある場合がありますので、不安な方はお早めにご相談ください。
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