- 6月 2, 2025
女性の健康とかかりつけ医の大切さ
院長の福井薫です。今回は、女性の健康と「かかりつけ医」の大切さについて、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社が行った調査結果をもとにご紹介します。
2020年と、すこし古い調査ではありますが、今なお示唆に富む内容ですので、ぜひ参考にしていただければと思います。
婦人科のかかりつけ医がいる女性は1割にとどまる
ロシュ・ダイアグノスティックス社の調査によると、全体の約5割以上の女性が「婦人科系のことを相談できるかかりつけ医が必要」と感じている一方で、実際にそうした医師を持っている人はわずか1割程度にとどまるという結果でした。
また、婦人科系の不調や病気の可能性を感じた経験がある女性のうち、医療機関を受診した人の割合は疾患によってばらつきがあり、たとえば子宮頸がんや不妊症では約7割が受診している一方で、更年期障害については3割程度にとどまっていました。
がんの可能性があっても受診しないという回答も3〜5割に達しており、受診行動には大きな課題があることがわかります。
受診しない理由とその背景
受診をひかえた理由として多く挙げられたのが、次のようなものです。
- 近所に通いやすい婦人科がない
- どこに相談すればいいか分からない
- そのうち治ると思った
- 診察費が気になる
こうした声は、受診環境や確かな情報源が不十分であること、経済的・心理的なハードルの高さを物語っています。
とくに「婦人科は妊娠したときに行く場所」という固定観念も根強く、月経異常や更年期の症状、性感染症の予防など、妊娠とは直接関係のない相談がしづらいと感じている方も多いようです。
女性のライフステージごとに異なる健康リスク
女性の身体は思春期、性成熟期、更年期、老年期と、ライフステージごとに大きく変化します。その中で、婦人科系の疾患リスクや体調の変化も多様です。症状が軽いうちに適切なケアを受けることが、QOL(生活の質)を保ち、将来的な病気の予防にもつながります。
JCHO相模野病院 婦人科腫瘍センター顧問の上坊敏子先生は、
婦人科系の疾患は気づいた時にはすでに病状が進行しており、治療成績が悪いものもあります。まずは近くの産婦人科や婦人科を訪ねて、ご自身の「かかりつけ医」として定期的に受診することをおすすめいたします。最近はインターネットをはじめ様々な形で疾患に関する情報を入手しやすくなっていますが、正確な情報を入手することは難しいです。健康について不安がある時は、専門医に相談し正しい情報を得ることが大切です。
とコメントを寄せておられます。
当院にできること
コロナ禍以降、受診をひかえることは少なくなったとは思いますが、先のとおり婦人科の受診はためらうこともあるようです。しかし自己判断によって受診をひかえることは、病状の悪化を招く恐れがあります。
当院では、年齢やライフステージを問わず、女性の健康を支える身近な相談先として、気軽に足を運んでいただける環境づくりを心がけています。「こんなことで相談してもいいのかな」と迷うようなことでも、ご遠慮なく一度ご相談ください。
健康への第一歩は、自分の体とていねいに向き合うこと。このブログが、みなさまの健康意識を高めるきっかけになれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
そろそろ梅雨入りというのに、お気に入りの傘がやぶれてショックです。。。
(文責:宝塚 かおるレディスクリニック 院長 福井薫)
【参考情報】
調査名:女性のかかりつけ医に関する調査
調査期間:2020年12月18日~12月21日
調査方法:インターネット調査
調査対象:15歳(高校生以上)~69歳の女性 5,000人
実施機関:株式会社クロスマーケティング
実施主体:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社