- 9月 2, 2025
「私だけじゃなかった」 更年期障害に悩む女性の声
女性は40代後半から50代にかけて、体調や気分にこれまでにない変化を感じる方が増えてきます。「なんとなく調子が悪い」「理由はわからないけど、気分が落ち込む」──そんな不調を抱えているのに、誰にも相談できず、一人で悩んでいる方も少なくありません。
このような症状の背景にあることが多いのが、「更年期障害」です。今回は、多くの女性が経験する更年期の不調とその背景、そして婦人科でできることについて、わかりやすくお伝えします。
更年期障害とは?
「更年期」とは、閉経前後の約10年間を指します。日本人女性の平均的な閉経年齢は50歳前後。そのため、だいたい45歳から55歳くらいが「更年期」にあたります。
この時期、卵巣の機能が低下し、女性ホルモン(特にエストロゲン)の分泌が急激に減っていきます。このホルモンバランスの変化が、さまざまな不調を引き起こす原因になります。
よく見られる症状
更年期の症状は人によって異なりますが、代表的なものとして次のようなものがあげられます。
- ホットフラッシュ(ほてり、のぼせ)
- 発汗、寝汗
- 動悸や息切れ
- 疲れやすさ、だるさ
- 不安感、落ち込み
- イライラや感情の起伏
- 不眠
- 肩こりや関節の痛み
- 肌や髪の乾燥、抜け毛
- 性交痛や腟の乾燥感
身体的な症状に加えて、精神的にも不安定になることがあり、自分らしさを失ったように感じる方もいます。
ただ最近では、インターネットや雑誌などで更年期障害に関する情報が数多く紹介されており、ご自身で「これは更年期の症状にちがいない」と判断される方も少なくありません。
しかし更年期にみられる症状の多くは、甲状腺疾患や貧血など他の病気とも重なる部分があるため、自己判断だけで片づけてしまうのは注意が必要です。診断には症状の背景や生活習慣、血液検査などの客観的情報を総合的に評価することが大切だと考えています。
多くの女性が感じている「更年期のつらさ」
更年期にまつわる悩みには、共通するパターンがいくつかあります。たとえば次のような声が当院の更年期外来の問診票でもたびたび見られます。
- 朝起きるのがつらい、気力が出ない
これまで普通にできていたことが急に重荷に感じられる。とくに朝起きるのがおっくうで、布団から出るのがつらいと感じる。 - 感情のコントロールが難しくなる
家族にイライラしてしまったり、ささいなことで涙が出てしまったり。感情の波が激しくなり、自分でもとまどってしまう。 - 人に言えない体の変化を抱えている
ホットフラッシュや寝汗、動悸などの症状を、人に説明しにくく、ひとりで抱え込んでしまう。一見して元気に見えるため、つらさを理解してもらいにくいという苦しさもある。
これらの症状は、ホルモンバランスの変化によって引き起こされる体の変調です。「気のせい」「年齢のせい」と片づけず、治療によりうまく対処できることもあります。
我慢しないで、ご相談ください
更年期の症状には、個人差があります。「私の症状は軽いから」「忙しいから仕方ない」と思って放置してしまう方もいらっしゃいますが、日常生活に支障が出るほどつらい場合には、我慢せずに婦人科にご相談ください。
婦人科では、問診や血液検査を通して、ホルモンの状態を把握することができます。治療法としては、次のようなものがあります。詳細はこちらを御覧ください。
- ホルモン補充療法(HRT)
- 漢方療法
- プラセンタ注射
- エクオール含有サプリメント
「自分だけじゃない」と気づくこと
更年期のつらさは、他人には見えにくく、周囲に理解されにくいこともあります。ですが、実は多くの女性が似たような経験をしながら悩んでいるのです。
「つらいのは私だけじゃなかった」と気づくことで、気持ちが軽くなることがあります。まずは、誰かに話してみること、そして医療のサポートを受けてみることも選択肢のひとつでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
まだまだ暑い日が続きますが、日の光は秋らしくなってきていますね。
(文責:宝塚 かおるレディスクリニック 院長 福井薫)