- 8月 2, 2025
不正出血があったらどうする?
院長の福井薫です。不正出血は女性のよくあるお悩みのひとつ。
「生理じゃないのに出血があった」、「茶色いおりものが続く」、「排卵期だから大丈夫かな?」そんな不正出血に気づいても放っておいていいのかどうか…と迷われる方は少なくありません。
不正出血には心配のいらないものから、早期受診が必要な病気のサインまでさまざまな原因があります。ここでは不正出血とはなにか、受診を急ぐべきケース、診察で行う検査などをわかりやすくご紹介します。
不正出血とは?
不正出血とは、月経(生理)以外のタイミングで性器から出血することを指します。具体的には次のようなものです。
- 月経予定日ではない時の出血
- 排卵日付近のうっすらした出血
- 性交後の出血
- 閉経後の出血
- 生理後だらだら続く茶色のおりもの
量や色、持続期間は人それぞれで、鮮血のように赤い場合もあれば、ティッシュにうっすらつく程度の茶色いにじみだけのこともあります。
よくある原因とは?
1. ホルモンバランスの乱れ
思春期や更年期、強いストレス、急なダイエット、睡眠不足などで排卵がうまく起きず不正出血が生じることがあります。10代や40代前後に多いタイプです。
2. 排卵期出血
排卵直後、一時的にホルモンが変動することで起こる少量の出血。1〜2日で自然に止まり、痛みもなければ経過観察で済むことがほとんどです。
3. 子宮や腟の病気
子宮頸がん・子宮体がん・子宮内膜ポリープ・子宮筋腫・頸管ポリープ・腟炎などが原因の出血では、見た目だけで区別できないため検査が必要です。
4. 妊娠に関連する出血
妊娠初期の着床出血、切迫流産、子宮外妊娠なども不正出血の原因になります。妊娠の可能性がある場合は早めの診察が欠かせません。
5. 避妊薬・ホルモン剤の影響
低用量ピルやホルモン剤の服用、あるいは飲み忘れなどで一時的に不正出血が起こることがあります。気になる場合は処方医にご相談ください。
すぐ受診した方がいいケースとは?
- 閉経後に出血があった
子宮体がんや萎縮性腟炎の可能性があります。 - 性交後の出血
子宮頸がんやポリープのサインになることがあります。 - 生理と無関係に出血が繰り返される
ホルモン異常や器質的疾患が疑われます。 - 茶色いおりものが長く続く、血が混じる
子宮内膜ポリープや炎症によるケースがあります。 - 妊娠の可能性がある
子宮外妊娠など緊急対応が必要な場合があります。
下腹部痛・発熱・悪臭のあるおりものを伴う場合も、感染症や重篤な疾患が隠れていることがありますので早めの受診をおすすめします。
受診すると何をするの?
- 問診
出血の状況、生理周期、症状、妊娠の可能性などを伺います。 - 内診・腟鏡診(クスコ)
腟内を観察し、子宮頸部や腟壁の状態を確認します。 - 経腟エコー
子宮・卵巣の大きさや内膜の厚さ、筋腫・ポリープの有無をチェックします。 - 子宮頸部細胞診(がん検診)
ブラシで頸部の細胞を採取し、がんや前がん病変を調べます。 - 妊娠検査・感染症検査
必要に応じて尿検査や血液検査を行います。
検査結果をもとに治療(薬物療法・処置)や経過観察の方針を決定します。
不正出血は身体からの大切なサインです
不正出血は自然に治ることもありますが、なかには早期対応が必要な病気が隠れている場合もあります。「なにもなければ安心」という気持ちで、どうぞお気軽に受診してください。
婦人科を受診するとき、多くの方が緊張や恥ずかしさ、不安を抱えています。医療者は診察に慣れていますが、患者さんにとっては特別な場面であることを意識し、プライバシーの確保とていねいな声かけを大切にしています。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
万博のキャラクター・ミャクミャクがよく見かけるせいか、かわいく見えてきました。
(文責:宝塚 かおるレディスクリニック 院長 福井薫)