• 11月 3, 2025

子宮体がんと検診 …気づきにくいサインを見逃さないために

先日、タレントの山瀬まみさんが子宮体がんの手術を受けたことを公表し、ニュースなどで話題になりました。こうした報道をきっかけに「自分も検診を受けたほうがいいのかな?」と関心を持たれた方も多いのではないでしょうか。

今回は、婦人科でよくいただく質問をまじえながら、子宮体がんと検診について解説します。

子宮体がんはどんな病気?

子宮には「頸部」と「体部」という2つの部分があります。そのうち子宮体がんは、体部の内側にある子宮内膜にできるがんです。

特徴のひとつは、比較的早い段階から異常出血が出やすいということ。特に「閉経後に出血があった」「生理でない時に出血が続く」といったサインは、放っておかず婦人科で相談してほしい症状です。

発症の背景には、ホルモンバランスの乱れや肥満、糖代謝異常、長年の月経不順などが関係していることがわかっています。40代以降に多くみられますが、近年はライフスタイルの変化もあって、もっと若い世代で見つかることもあります。

子宮頸がんとは違い、全員検診はありません

女性の「がん検診」というと、子宮頸がん検診を思い浮かべる方が多いと思います。頸がんは定期的な細胞診で早期発見ができる病気です。

一方、子宮体がんについては、全員を対象とした定期検診の仕組みはまだ整っていません。 その理由は、現時点で「全員に検査をしても、死亡率を下げる効果がはっきりしない」とされているためです。検査自体は経腟超音波や子宮内膜の細胞診などで行えますが、症状やリスクのある方を対象に選択的に行うのが現状です。

たとえば、閉経後の出血や月経不順が続く方、肥満・糖尿病などの基礎疾患を持つ方などは、医師と相談して検査を検討することをおすすめします。

気になる症状があれば、まずは受診を

子宮体がんは、症状が出てから発見されることの多いがんです。代表的なサインは次のようなものです。

  • 閉経後の出血(最も多い症状)
  • 生理以外の不正出血、出血が長引く
  • 茶褐色のおりものが続く
  • 腹部の張り感や違和感

「閉経前だから大丈夫」「更年期だから仕方ない」と思ってしまう方も少なくありませんが、出血の原因が本当に更年期の変化だけなのかどうかを確かめることが大切です。

最近はインターネットや雑誌で情報が簡単に手に入るため、「これは更年期の症状だろう」と自己判断してしまうケースも見られます。けれども、似た症状でも原因はさまざま。子宮筋腫や内膜ポリープ、ホルモン異常、甲状腺の病気などが関係している場合もあります。「少し気になる」段階で相談することが、安心につながります。

ふだんの生活で気をつけたいこと

子宮体がんのリスクを下げるには、ホルモンバランスと生活習慣の整え方が大切です。とくに肥満は女性ホルモン(エストロゲン)の過剰につながりやすく、子宮体がんの発症リスクを高めるとされています。適度な運動とバランスのとれた食事、十分な睡眠を意識してみましょう。

また、月経不順や無月経が長く続く場合は、そのままにせず早めに婦人科で相談してください。

当院での対応

ニュースをきっかけに「検診を受けたほうがいいのかな?」と思われた方も多いでしょう。子宮体がんは、症状が出た段階で受診すれば早期に発見できることが多い病気です。もし少しでも「いつもと違うな」と感じたら、その感覚を大切にしてください。

当院では、問診やエコー検査を通して、必要に応じて内膜の検査も行いながら、安心して検査・治療に進めるようサポートしています。不安を抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

肌寒い日が増えてきました。おでんやお鍋でほっと一息つきながら、季節の変わり目を元気に乗り切りましょう。

(文責:宝塚 かおるレディスクリニック 院長 福井薫)

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