- 8月 1, 2026
デリケートゾーン(陰部)のかゆみ 2 |カンジダ以外の原因と、受診の目安

院長の福井薫です。以前に書いた陰部のかゆみの記事が多く読まれましたので、今回はカンジダ以外のかゆみの原因についても触れておきます。
あらためて、カンジダ腟炎について
カンジダ腟炎は、外陰部のかゆみの原因としてもっともよく知られたものです。カンジダ菌はもともと体に存在する常在菌の一種で、体調の変化や抗生物質の使用、ストレスなどをきっかけに増殖して症状を引き起こします。
強いかゆみと、白くぽろぽろとしたおりものが特徴です。再発を繰り返す方も多く、「またカンジダかも」と自己判断されるのも理解できます。
ただ、繰り返す場合は一度きちんと確認することが大切です。似た症状でも、別の原因が重なっていることがあるからです。
カンジダ以外の、よくある原因
外陰部のかゆみには、カンジダ以外にもさまざまな原因があります。
1,かぶれ・接触性皮膚炎
意外に多いのが、日常的なケアによる刺激です。石けんや洗浄剤、シャワーの強い水流、ナプキンや下着の素材など、清潔にしようとする行為そのものが皮膚への負担になっていることがあります。よく洗っているのにかゆいという方に、このパターンが多いです。
デリケートゾーンの皮膚は薄く、刺激に敏感です。洗いすぎず、必要以上に触れないことが、実はとても大切なケアになります。
2,ホルモン低下による萎縮性変化
閉経前後から、女性ホルモン(エストロゲン)の低下によって外陰部の皮膚や粘膜が薄くなり、乾燥やかゆみ、ヒリヒリした違和感が出やすくなります。感染症とは原因が異なるため、抗真菌薬を使っても改善しません。
年齢のせい、とあきらめてしまう方も多いのですが、適切なケアや治療で症状を和らげることは十分可能です。気になる方はご相談ください。
3,外陰部の皮膚疾患
あまり知られていませんが、外陰部にも皮膚疾患が生じることがあります。疑わしい場合、皮膚科の受診をお願いすることもあります。
早めの受診をおすすめするサイン
次のような場合には、市販薬での対処ではなく、受診をおすすめします。
- 市販のカンジダ薬を使っても改善しない、またはくり返す
- かゆみ以外に、痛みや腫れ、おりものの変化がある
- 皮膚の色や質感が変わってきた
- 閉経後に新たにかゆみが出てきた
- 日常生活に支障が出るほどかゆみが強い
同じ症状だから同じ薬でいいか、という判断が、原因の見落としにつながることがあります。その都度、状態を確認することが安心への近道です。
日常ケアで気をつけていただきたいこと
症状の有無にかかわらず、外陰部のケアについて日頃から意識していただきたいことがあります。
- 洗浄は、ぬるめのお湯でやさしく。石けんは外陰部の内側には使わない
- ナプキンや下着は、通気性のよい素材を選ぶ
- かゆみがあるとき、掻くことで皮膚を傷つけないよう注意する
- 市販薬は、短期間の使用にとどめる
ケアの方法についても、診察の際にご相談いただければ、状態に合わせてお伝えします。
「またカンジダかな?」で終わらせないために
外陰部のかゆみは、ありふれた症状に見えて、原因はひとつではありません。自己判断で対処し続けるよりも、一度きちんと確認することで、症状の改善だけでなく、再発の予防にもつながります。
「恥ずかしいな」「この程度で行っていいのかな」というためらいはよくわかります。ただ、私たちにとって日常の診察です。受診のハードルを、すこし下げてもらえたらと思います。
蒸れやすい季節は特に、体も皮膚も負担がかかりやすい時期です。気になる症状がある方は、どうぞご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
外の暑さはこたえますが、冷房による冷えもあなどれませんね。どうぞみなさまも、体温調節にお気をつけてお過ごしください。
今月の絵本

文責:宝塚かおるレディスクリニック院長・産婦人科専門医 福井薫 [院長プロフィール]